極上の★スイートラバー



「嘘…でしょ…?」




演奏が終わった頃、こんな言葉がふと口から出てきた。


盛り上がっているこの雰囲気の中でも、やっぱり猛先輩はあたしを見ているようにしか見えなくて、曲が演奏されている最中でも、あたしは猛先輩から目を逸らせなかった。




―――あたしの頭の中に、重大な疑問が生まれる。


この歌詞の主人公って…まるで、あたしと先輩みたいじゃない。

セリフ、行動、全てがリアルで。


先輩…あたし…

うぬぼれても、いいのかな…?




「スイートラバーでしたー!」




ユウトさんの叫び声がこだます会場内は、さらにヒートアップ。


みんなの反応も良く、手を振り上げて応えている。


ドラムの迫力ある音も、ベースの重低音も、ギターの聞き心地の良い音も、しっかりとあたしの耳に残っている。



いつの間にか、あたしの目からは涙が零れ落ちていた。




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