極上の★スイートラバー



あたしがウットリしている間に、いつの間にか曲の準備が始まっていた。


頬を叩いて、再びテレビに集中する。




『では、演奏していただきましょう!Truthで、“ハイライト”です』




司会者が曲名を紹介した瞬間、激しいギターサウンドがテレビを通してこだましてきた。


バンドメンバーみんながテレビの中で暴れ回る。もちろん、先輩だってそう。


…だけどあたしにとって、この瞬間が一番好きで

一番嫌いだった。



先輩が、遠くの存在に思えて仕方がないから。




「…先輩」




あたしは、笑顔でギターを振り回している「タケル」を見ながら、眉をハの字にしていた。




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