介錯、請け負います
「地獄が………
本当にあるのか?」
『ありますよ。
現に貴方様は地獄の入口に立っているのです。
自殺を選択した時点でね。
ああ、地獄と言っても人間が思っているような閻魔大王や血の池など存在しませんから。
全てを凍りつかせる深い闇があるだけです。
自殺者の魂は輪廻転生することを許されず、そこで何万年も凍らされ続けます。
二度とこの世に戻って来ることはありませんから、安心して御亡くなりになって下さい』
イシュタムの言葉に驚愕し、堀田はしばらく黙っていた。
そんな堀田にイシュタムは、
『残念ながら契約破棄は不可能ですが、契約不履行なら可能です。
要は明日、先程堀田様が望んだ行動を起こさなければ良いのです』
その言葉にハッとする堀田。
「じ、じゃあ、別の自殺方法なら………
惨たらしい死体にならなくて済むのか!!」
『いいえ。
既に貴方は先に契約した内容か、天寿を全うする以外死ねません。
他の方法を試しても、ただ死ぬ程の苦しみを味わうだけです。
私が言いたいのは、明日自殺に踏み切らなければ良い、ということです』