介錯、請け負います
「そんな………」
『この世に生を受けた者にとって、生き続けることは権利ではありません。
義務なのですよ。
義務を放棄して死を選択した貴方は、今度はそちら側のルールに従わなければなりません。
それがお気に召さないという方のための保険ですよ。
とは言え、これが貴方の最終選択となりますが。
良いじゃないですか。
自殺しようとした貴方は、もはやプライドも地位も関係ない。
地べたを這って泥水をすするのが嫌だとしても、それしか生きる道が無いのならやるしかないのです』
「………っ!?」
ハッと我に返った堀田。
その右手は、フィルターに近いところまで火が進んだタバコを持ったままだった。
一瞬それを投げ捨てようとした堀田だが、タバコと一緒に指が何かを挟んでいることに気付いた。
赤い紙………
見ると何か書かれていた。
『地獄でお待ちしています。
こちらに来る気があるならね』