虹に降る雨〜瞭の想い〜
「大好きだよ。愛してる。」


背中からしっかりと抱き締めた。


「美羽が大好きだよ。」


「……ん。」


腕の中でくるりと向きをかえた彼女は、真っ直ぐに俺を見上げた。

その瞳には、もう哀しい影はなくなっていた。


「大好き。瞭くん。」


優しく笑って俺に向けて囁かれた言葉。

彼女の心の中に、俺が入り込めない部分があるのは、前からなんとなく感じていた。

空を見上げる彼女が消えてしまいそうで、幾度となく、このまま連れて帰りたいという衝動にかられた。

それがなんなのかは全く説明ができないのだけれど……。

寂しいのは、俺?

そうなのかもしれない。





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