虹に降る雨〜瞭の想い〜
そうやって、一人で抱えこんで。

一人で苦しんで。

俺は、何をしてあげられる?

そんなこと、もうわかっていた。

難しいことはいらない。

ただ、そばにいること。

それだけなんだと。











「お疲れ様でした。」


「明日は、11時に迎えやるから。」


「はい。おやすみなさい。」


マネージャーの車を見送った。

深夜1時。

迷うことなんかなかった。

玄関先で、バッグから、携帯と財布、必要最低限だけをジャケットのポケットに突っ込み、スニーカーを脱ぐことなく彼女を目指した。

いつもの散歩道から、ほんの少し外れると、見えてくるアパート。

彼女の消せない不安と同じ様についたままの明かり。
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