虹に降る雨〜瞭の想い〜
明け方近く。

ついさっき腕の中で眠りはじめた彼女を見つめながら、小さく溜め息をついた。

朝になり、目が覚めたら、また、君は一人で苦しみを抱えこんでしまうのだろうか。

苦しみを、哀しみを、分けて欲しいと願う俺は、我が儘なのだろうか。

水を飲みにリビングに出た途端、ほんの少し開いたままのカーテンの隙間から射し込む朝焼けがそこにあった。


「美羽、起きれる?」


「ん。」


「おいで。」


ゆっくりと体を起こした彼女の手を取り、窓辺へと誘う。


「あ……………。」


朝焼けに照らされた瞳は、キラキラして、そして、揺れた。


何を想ってる?

何を恐れてる?

俺は、何から君を守れば良い?




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