虹に降る雨〜瞭の想い〜
「話して楽になるなら、少しでも笑えるなら、俺はここにいるよ?」


はらりとこぼれ落ちる涙を指ですくいながら、俺は、彼女の言葉を胸に刻んだ。









その言葉を胸に刻みながら、俺は、ずっと思っていた。

ずっと一人で生きてきた君を。

哀しみを隠すため、強くあることしか想って来なかった君を。

そして、今、俺に、その哀しみを分けてくれた君を。











俺は、何にも出来ないけれど、たったひとつ出来るとすれば、それは、君のそばにいることだけ。










「美羽は、俺の天使だよ。」









だから、どこにも飛んでいかないで。

俺の天使でいて。




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