虹に降る雨〜瞭の想い〜
そうやって年末逢わずに過ごした。

やっと訪れた正月休み。

電話でも、全く怒った様子はなく、俺に気を遣ってばかりいた。


「大好きな瞭くんに逢いたくなかった?」


なんとなく寂しくて、つい、意地悪を言ってしまう。


「そんな……こと…。」


「そんなこと?」


困ったように俺から視線を外す。

耳が真っ赤になっていて、返事は聞かなくてもわかっていた。

それでも、聞いてみたい。


「ん?美羽ちゃん?」


向こうを向いた顔を追い掛けて座る席を変えた。


目と目が合い、真っ赤になった。


「俺は逢いたかった。」


素直に気持ちを伝える。


「逢いたくて逢いたくて泣きそうだったよ。」


そっと頬に手を添えた。



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