虹に降る雨〜瞭の想い〜
「中、入ってく?」


アパートの前で可愛く首を傾げる。


「寄りたいけど我慢します。仕事、行きたいでしょ?」


「そうだね。じゃ、ありがとう。」


「終わるころ、迎えに行っても良い?」


「良いの?」


「滅多にない機会ですから。是非、行かせてください。」


わざと丁寧に話す俺を見上げながら、クスクス笑った。


「じゃ、お願いします。」


「はい。20時頃に。」


クスクス笑いながら、手を振って階段をあがって行く。

残念な朝……。

でも、やっぱり、幸せな時間。

とてもとても大切な時間だった。

休みの3日間、俺は、昼間を寝て過ごし、朝と夜は美羽との時間に費やした。


そして、幸せな時間はあっというまに終わりを告げた。



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