faKe anD Real
阿部は私の席の右斜め前。

隣の女子から、話しかけられていたけど、当の本人は空返事。

返事と言ってもああ、だのうん、だので、相手にしていない事が丸分かりだった。



阿部は三年前と少しも違っていなかった。
漆黒の瞳も変わらず、じっと何かを見据えるようだった。
あの時の私は、あの視線の先に居たがっていたのだろう。
儚い『恋心』で願った事。
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