faKe anD Real
「あのさ…。」

暫くの沈黙を破ったのは阿部。
いつも以上に真剣な顔付きをしている。
その真っ直ぐな瞳に、私はドキリとした。


「俺…」


ドキン


ドキン


止まれ、心臓の音。

阿部の声が聞こえないよ。


―――阿部



「やっぱ何でもネェ。また今度。」

「あっ、そう…。」

その後の阿部の表情が険しくなったのは、気のせいだろうか。


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