faKe anD Real
阿部とすれ違う度、私は彼を目で追い、そして届く事のない憧れを抱いた。
生まれて初めて『恋』を感じた。





それから間もない、夏休み前。

阿部は風の様に中学校から去ってしまった。

突然の出来事を把握できなかった私は、三日三晩泣き続けた。その事は今でも鮮明に思い出せる。



私にとっての初めての『恋』は、いとも簡単に手の指の間からすり抜けてしまった。
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