クリスマス・イブ

呆れた顔してるのに精一杯だ。

「あ。今照れたでしょ。」

「…は?」

「そりゃあ、一年も一緒にいたら照れたときくらい分かるよ。」

聞こえなかったふりをしてテレビをつけた。

テレビにはスイカに食らい付く小さな男の子が映されていた。

「あ、アタシも海行きたいなぁ。」

不意に呟いた心を見た。

「去年なんかさ、付き合いたてで行けなかったじゃん?」

去年の今頃を思い出す。
しんと静まり返って廊下に、心の鼓動と俺の鼓動が重なってこだまする。

「あのさ、アタシ、亮平のこと好きなんだよね。だから、付き合ってくれる?」

答えは決まってた。

「よろしくな。」

< 3 / 11 >

この作品をシェア

pagetop