クリスマス・イブ
呆れた顔してるのに精一杯だ。
「あ。今照れたでしょ。」
「…は?」
「そりゃあ、一年も一緒にいたら照れたときくらい分かるよ。」
聞こえなかったふりをしてテレビをつけた。
テレビにはスイカに食らい付く小さな男の子が映されていた。
「あ、アタシも海行きたいなぁ。」
不意に呟いた心を見た。
「去年なんかさ、付き合いたてで行けなかったじゃん?」
去年の今頃を思い出す。
しんと静まり返って廊下に、心の鼓動と俺の鼓動が重なってこだまする。
「あのさ、アタシ、亮平のこと好きなんだよね。だから、付き合ってくれる?」
答えは決まってた。
「よろしくな。」