野獣狂想曲
―陽菜side―

玲奈、月島さんと何話してるんだろう…。

気になるけど、盗み聞きはやっぱりダメ、だよね。

でも、ちょっとだけなら…。


「っ!!」

中の様子をうかがおうと扉に近づいた直後、いきなり扉が開いた。

「陽菜?」

恐る恐る顔を上げると玲奈が不思議そうに首をかしげていた。

「あ、あの、話終わった?」

「うん。だから陽菜を呼びに来たんだよ」

玲奈は私の手を引っ張り音楽室に引き入れた。

ピアノの前には月島さんが座っている。


まずは、走り去ったこと謝らなくちゃ。


「あの、昨日は何も言わずに逃げてしまってごめんなさい!」

勢いよく頭を下げた。
もちろん謝罪のためだけど、正直あまり目を合わせたくないという意味も含んでる。


たぶん、月島さんなら許してくれると思うけど、あの目を見るのはやっぱり怖い。


「もう来なくていい」

「……そんなっ…!」

拒絶されるとは思ってなかったから、動揺を隠しきれない。



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