野獣狂想曲
「陽菜?」

不意に肩に感じた温もりと、心配そうな玲奈の声。


また玲奈に心配懸けてる。

……いつまでもあの日に囚われているわけにはいかない。

いつかは忘れられると思ってたけど、それは逃げてるだけ。

向かい合わなきゃ乗り越えられない。

もう、逃げるのはやめよう。


「……行きます」

私がそう答えると月島さんの口元が軽く綻んだ。

「っ!」

普段見ることのできない月島さんの柔らかい表情にドキッとしてしまう。

「じゃあ、待ってるからな」

月島さんはそう言い残し音楽室から出ていった。



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