野獣狂想曲
無我夢中で走り、気が付いたら学校に来ていた。

どこかの部が試合をしているらしく、グラウンドの方から声援が聞こえる。
でもそれには目もくれず真っ直ぐ玄関に向かう。

鍵が掛かっているんじゃないかと不安だったけど、扉に手をかけると呆気なく開いた。

上履きに履き替えあの場所へ急ぐ。

あの場所…。

月島さんと仲良くなるきっかけとなった音楽室へ。





音楽室への道を辿りながら、いろんな思いに押しつぶされそうになっていた。

―月島さんのピアノを聴かなければ良かった―

―月島さんと仲良くならなければ……―

―月島さんと出逢っていなければ……―

そして最終的に一つの結論に行き着く。

―もしあの時、事故に遭っていなければ……―

そう、全ての発端はあの事故なんだ。
あの事故がなければ、私は今頃あのホールでピアノを弾いていた。でも、あの事故があったから月島さんと出逢って、自分がどんなにピアノが好きだったか思い出した。

まだ心の中はぐちゃぐちゃだけど、今は「ピアノが弾きたい」という強い思いだけが私を音楽室へと向かわせていた。



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