野獣狂想曲
音楽室のドアを開け、真っ直ぐピアノへ近付いていく。

胸が張り裂けそうなほどドキドキしている。

椅子に座り、そっと蓋を持ち上げた。



『今までのようには弾けないかもしれないって……』



その言葉を振り払うように首を横に振った。

深呼吸して鍵盤と向き合う。


私はピアノが弾きたい。
例え昔と同じ様に弾けなくても。


ゆっくりと手を伸ばし鍵盤に触れた。

そして、音を紡ぎだした。





~♪





あれ以来ずっとピアノに触れていなかった。

当然だけど、思うように指は動かない。

昔のようには弾けない。





それでも……。










何度も音をはずしたけど、私は最後まで弾ききった。



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