野獣狂想曲
いつの間にか演奏が止んでいる。

はっとしてピアノの方を見たけど、月島蓮の姿はない。



え?消えた?



その時、支えにしていたドアが開いた。
急に支えを失った私は前のめりに倒れこんだ。

「痛っ!」

突然のことで対処が出来ず頭から倒れこんでしまい、額を床にぶつけてしまった。
あまりの痛さに涙が浮かぶ。


!!
月島蓮は!?


顔をあげて前を確認するが、やはり彼の姿はない。


どこに行ったの?


私はおもむろに立ち上がった。

「俺に、何か用?」

後ろからの声に息が止まる。


この声は…。


怖くて後ろを振り向けない。

きっとあの鋭い目は私を睨みつけているはず。
私にはその目を見る勇気が、ない…。


バタンッ。


ドアを閉める音に驚いてつい振り返ってしまった。

そこには、さっきまでピアノを弾いていた金髪の少年が…いや、野獣がいた――…。


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