ぬいぐるみに恋する少女




「ある・・・本に書いてあった。」




俺は灰色の壁を見つめる。





「恋人を失って前向きに生きる少女。」



その人は高校生で少女と言っていいのか分からないが、たぶん少女のほうがいい。





「それって作り話かどうか分かんないけどそう早くは立ち直れない。」



須川は無言を続ける。





「恋人の変わりなんていないのは分かってる。



だけど、俺がアキラの代わりになっちゃダメか?」





須川は顔を上げて俺を見つめる。






俺は優しくほほ笑みかけた。


< 164 / 327 >

この作品をシェア

pagetop