ぬいぐるみに恋する少女
「ある・・・本に書いてあった。」
俺は灰色の壁を見つめる。
「恋人を失って前向きに生きる少女。」
その人は高校生で少女と言っていいのか分からないが、たぶん少女のほうがいい。
「それって作り話かどうか分かんないけどそう早くは立ち直れない。」
須川は無言を続ける。
「恋人の変わりなんていないのは分かってる。
だけど、俺がアキラの代わりになっちゃダメか?」
須川は顔を上げて俺を見つめる。
俺は優しくほほ笑みかけた。