ぬいぐるみに恋する少女
「佐藤くん…!!」
か細い声の持ち主、赤いランドセルを背負う須川がこちらへ小走りで走ってきた。
「おはよ。」
「おっ…おはよ。」
俺が笑顔で挨拶すると須川はいつものおぼつかない返事をする。
昨日、あのあと、大雨は小雨になり
俺と須川は土管を出て、自分の家に帰った。
そのあとはこっぴどく怒られた。
だけど、俺が学校を飛び出した後、橘が俺の母親を説得してくれたらしい。
姉ちゃんも怒られている俺を助けてくれた。
だから、母親の怒りは最小限に収まったかもしれない。