ぬいぐるみに恋する少女
勘違いすんな。
俺は中学受験のために
ある程度、大人の評判をよくしていくためだからだ。
まぁ…学級委員だからと言って俺に自分の仕事を押し付けるってのも伺わしいけどな。
さて、本題に戻ろう。
大人が言う
あの子と友達になれ
という“あの子”
俺は教室に入り教室の窓側の席を見た。
「…ね。」
そう、あのクマのぬいぐるみに話しかけている不気味な女子。
一見、二つ結びで小顔で普通の女の子だ。
しかし、問題なのはあのぬいぐるみ。
彼女はあのぬいぐるみにしか話さない。
他の奴と喋った姿なんて見たことねぇけどな。
あっ、今、滝崎があいつに近付いた。
まっ、女子同士だし須川の事は滝崎に任すか。
俺は席に座り
参考書を広げたとたん
窓側から悲鳴が聞こえた。
「滝崎さんどうしたの!?」
「せんせっ!!…須川さんがっ…!!須川さんがっ…!!」
涙に濡れて先生に駆け寄る滝崎の顔には
ひっかいたような赤い跡がある。