雨音
それから他愛のない話をたくさんした。



でも、いきなり、いままでニコニコしてた龍の顔が、真顔…こわばった。



「雨音ちゃん。何なやんでるの?」



『え?』



あたしは気づかなかったみたい。




この二人に見透かされてたことを。



龍の顔も。響の顔も真剣そのもの。



言うべきか。言わざるべきか。



この二人に言って解決するのかな?



逆にこの二人に言ったことで何ができる?



聞いて、それでバイバイ。



どうせそれ。



みんなそうだ。




この二人だって真剣に聞く振りして放っておくだけでしょうね。



時間の無駄。



こんな話よりさっきの他愛の無い話のほうがよっぽどよかった。
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