なっちゃん
普通の教室と変わらない扉を2回叩き
「失礼します」
と言えば、中から
「どうぞ」
と言う声が聞こえてきて、その扉が開かれた。
驚くべきことに出迎えてくれたのは生徒会長。
近くで見ても、そのオーラの違いは歴然だ。
少し長めの髪は無造作に遊ばれていて、それがまた会長に合っていた。
壇上に立つ会長しか知らない私は、もっと大人びた顔なのかと思っていたけれど、少し子供染みた瞳が可愛らしい印象を与えた。
けれど身長があって、前に立たれると結構な迫力を伴う。
「あれ、1年生だなんて珍しいね。ご用件は?」
優しく笑って、会長が言った。
「えっと、神谷先輩から伝言を預かっていて…」
「神谷くんから?…なんとなく予想はつくけど、何だって?」
「あまり体調が優れないみたいで、それを伝えて欲しいと」
私がそう言うと、いきなり会長が喉を鳴らして笑い始めた。
「ははっ…、そっか!わざわざありがとうね。本当、神谷くんも悪い子だよねー」
「は…はぁ」
会長が笑う意味がわからない私は、それに合わせてなんとなく笑うしかなかった。