Cup Cake -甘くて苦い恋の味-
知らなかったのは私だけ
あのあと、一日中屋上で過ごした私たち。
桜と美和子は屋上にかばんを持ってきているために、そのまま帰っていた。
しっかりと、結果伝えるように念を押されたけど。
私は教室においていたし、丸山に気持ちを伝えたかったから。
そのまま教室に行った。
中からは、男子の話し声が聞こえた。
4人くらいかな?
「しっかし丸山もさー。なんでそんなことしてんの?」
「…なにが?」
不機嫌そうな丸山の声と、ずっと笑ってる男の声。
「お前、料理つくんの得意だったじゃん?
お菓子も、普通の料理も」
「だよなー?
中学んとき、なんか大賞とってたしー」
「また暇つぶしのために遊んでンのか?
料理上手な女とー。ぎゃははは!!」
私は、教室の扉の近くにある壁に寄りかかってい聞いていた。
ああ。
何も知らなかったのは私だけ?
昨日同様に痛い心。
純粋に喜んでくれていたと思っていたお菓子も、ただ、ただ単に計算だったと…。手に持っていた携帯を落としたのにも気付かずに、走り出した。
「!?」
「今、誰かいたよな…?」
「もしかして…」
「「「御倉…?」」」
その声を聞く前に、丸山は走り出していた。
「もしかして、丸山…」
「マジぼれって奴ですか…」
「いやー若いねえー…」
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