Cup Cake -甘くて苦い恋の味-
「はぁ…っはぁ…」
遠くから、私を呼ぶ声が聞こえる。
わたしも、どこに逃げてるのかなあ。
「奈美!!!」
一番聞きたくない声だ。
「ううううううっ…!!」
涙を拭って、走り出す。足を止めたら、負けだ。きっと。
「待てよ…奈美…っ!!!」
名前を呼ばないで、着いてこないで。
遊んでいたんでしょう?私のこと、遊んでたんでしょう?
足が、もつれる。
どこに、逃げてるんだろう。
廊下を突きぬけ、普段使われていない東校舎に足を踏み入れて、階段を下りる。
そしたら、
足がもつれて、階段の上で体が斜めになった。
「きゃあああっ!」
「な…ッチ」
丸山は私の腕を引っ張って抱きしめて、自分が下敷きになって降りた。
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