神様の悪戯



お店を出た後、父は薫さんを送ると言って早々にタクシーを拾い行ってしまう。


アイツも用があると、父には丁寧に頭を下げるのに、私には子供扱いするように頭を撫でて行った。

「また学校でな?」

すれ違い様、そう言葉を残して。





帰り際の少し強引な父に苦笑しながら薫さんは言っていた。


「私は華恋さん、あなたのお母さんになりたい。心からそう思うわ。良い母親になれるなんて大それた事は言えないけど…友達みたいになんでも話せるような母親にはなりたい。あなたさえ良ければ…」



友達みたい、か…

母親がどんなものか分からない私には良い母親そのものが具体的にどんなのか浮かばない。


けど、友達みたいなお母さん。


それもアリ、かな…。




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