神様の悪戯
あれから10数年。
漫画とかでよく『長いようで短い』なんてあるけど、私にとっては長い長い年月だった。
母が亡くなっても私は父と2人で暮らした。
父方の祖父母は私を可愛がってくれたけど、決して愛してはくれなかった。
父は両親に頼らず幼い私を1人で育てていくと決めた。
大人の事情までは良く分からない。
ただ、父と2人で生きていくしかない事だけは感じていた。
医者の父は多忙を極めていた。
それでも休みの日は私に全てを費やしてくれた。
遠足も授業参観も運動会も欠かさず来てくれた。
父が学校に来るとかっこいいと友達に言われる。
自慢だった。
父子家庭だから。
それで私が嫌な思いをしないように。
父の精一杯の愛情を受けて私は育った。
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