神様の悪戯
『言えるのは…お前は子供で、俺は大人ってコト。子供のうちはもう少し、甘えてもいいんじゃねぇの?』
助手席の私に顔だけ向けてアイツはそう言うと、少し…ほんの少しだけ笑ったような気がした。
私は、子供。
アイツは、大人。
そんなの言われなくても分かってる。
幼いばかりに、いろんなものを我慢して。
無知であるが故に、たくさん裏切られた。
子供だからという理由だけで、片付けられた事がいくつもあった。
早く大人になりたかった。
父の足枷でいる自分が嫌いだった。
「私の気持ちなんか分からないくせに…」
ひっそりと静まり返った空間。
私の呟きは夜に紛れて消える。
『甘える』って何?
答えなど見つかるはずもない自問自答。
夜明けを待ち望む太陽はすぐそこで顔を覗かせていた。
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