神様の悪戯
「え、あぁー…うん。さくら君でしょ?聞いてる聞いてる。じゃ、急ぐから」
言い終わるより先に体が動いた。
彼の横をすり抜けるように、階段を駆け下りる。
「助けてくれた事は本当に感謝してる…ありがとう。…けど、私が君を好きになる事はないかな(笑)気持ちだけもらっておくね?」
下から見上げた彼の表情は逆光で良く分からない。
けれど、不適な笑みを浮かべてるような気がした。
返事を待たずに踵を返す。
彼の言葉は聞こえない振りして私は走り出した。
そんな今の自分とアイツが重なって、少し笑ってしまった。
案の定、会議は始まってた。
他の役員から理由を聞かれたけど、言えっこない。
誰かに突き落とされて、1年生に助けられた後、告白されたなんて…
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