神様の悪戯
帰る事が出来ない状況。
それなのに、その事実を隠し自力で打開しようとする。
単純に俺を警戒したり、打ち解けてない部分もあったかもしれない。
それでも、あんな状況だ。
少しくらい甘えが出てもいいはずなのに何も言わない。
強引にでも車に乗せて、適当に新しい靴を見繕ってやる。
家の前でアイツが言った言葉は今でも忘れない。
『なんで優しくするの?』
優しくするのに理由なんかいらない。
俺の単なる自己満足。
まぁ、そう答えても納得なんかしないのは分かってた。
なんで…?
華恋、お前が幼い頃の俺に重なったんだ。
全てを諦め、1人で必死になってた頃の俺にお前の瞳はとても似ていた。
だから、ほっておけなかったのかもしれないし。
固執してしまう理由もここにあったのかもしれない。
あの日、アイツを追い掛けた理由も…
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