神様の悪戯



頭上から、さっきと似たような舌打ちが聞こえた。


呆れられた…かな。


藍紫兄さんの性格から考えると、こんな場面で泣くような女、嫌いなはず。




だめ。

泣いたって何も変わらない。

涙、早く止まってよ…



考えとは裏腹に溢れ出す涙は視界を奪って、目の前は霞むばかり。

唯一の救いは目の前の藍紫兄さんがどんな表情をしてるか分からない事くらい。




「私、何してんだろ…子供みたいだよね?本当に…あははっ…」


遅いかもしれないけど、適当に笑ってみた


上手くはないけど、笑顔も作ってみた。



なのに、心は余計に痛んだ。



「ごめんッ」



腕を突っ張り、半ば藍紫兄さんを押すように距離をあけた。

乗せられていた暖かい手はその反動で行き場をなくした。



これ以上、弱い部分は見せたくない。

これ以上、優しくされたら一人で歩けなくなってしまう。





「泣いたりしてごめん。なんか、目にゴミ入っちゃったの。もう、大丈夫…」


「じゃあ、なんでそんな顔してんだよ?なんで、いつもみたいに俺の目を見て話さねぇの?……ガキが強がってんじゃねぇよ」




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