青空の虹
「お姫様みたいだね。」


「みたいじゃなくて、お姫様なの。」


「ありがとうございます。では、失礼して。」


クスクス笑って頭を下げ、車に乗り込んだ。










流れる景色をみながら、小さな溜め息を飲み込む。

サイドミラーに写る少し揺れる瞳。

溜め息を飲み込みながら、膝に置いたミルクティをぎゅっと握り締める。

現実を受け入れようと必死な彼女を責めることは出来ない。

どんなに嘘の笑顔でも、決めたことなら黙ってそばにいる。

きっと、これからも避けて通れはしないのだから。

何があっても、俺が守る。

守るけれど、それだけじゃ乗り越えられるものではないのも事実。


「美羽?」


「…………ん?」


窓の外から戻された視線。

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