ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
茜の顔を覗き込む明日香の瞳は、『何でもお見通しよ』と言うように、穏やかで澄んだ色合いをしている。
白いカーテン越しに入ってくる夏の午後の強い日差しが、首の後ろで束ねた自然なウェーブの栗色の長い髪を、金色に縁取った。
それは、神々しいまでの美しさ。
お母さんにウソは付けない――。
茜は、意を決して口を開いた。
「お母さん……」
「なあに?」
茜の言葉を待つ明日香の瞳には、どこか楽し気な光が揺れている。
「どうして、このペンダントを付けてなくっちゃイケナイの? お友達は、こんなのしてないもん。幼稚園にして来ちゃダメだって先生にも言われたもんっ!」
茜は、自分の襟元からペンダントを引き出すと、勢い込んでまくし立てた。
言葉にしているうちに感情が高ぶってきて、思わず涙が滲んできてしまう。
その頬に、そっと優しい母の白い華奢な手が伸びて来た。
フンワリとした柔らかい匂いが、茜の鼻をくすぐる。
「このペンダントの青い石は”守りの石”なのよ」
穏やかだが強い意志のこもったその声に何かを感じて、茜は母の顔を見詰め直した。