ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
「あららら。涙腺も壊れちゃったのかな? あ、そこの大きい君、飲み物買ってきたんでしょ?」
麗香の後ろで、ペットボトルのスポーツドリンクを両手に抱えてオロオロと見つめていた橘信司が、自分の出番が来たとばかりに、慌ててその一本を差し出した。
「大丈夫か、神津?」
「うん、ありがと橘君……」
あ!?
肝心なことを忘れていた!
「敬にぃ、玄鬼は!?」
茜は思わず跳ね起きた。
「玄鬼?」
敬悟が嫌そうに眉を寄せる。
まさか、あのままお香と一緒に、消えちゃったなんてこと無いでしょうね!?
茜は、青くなった。
「猫ちゃんなら、そこで寝てるけど?」
「え?」
麗香の指の先。
茜の枕元で丸くなって寝ていた玄鬼が、ぴくぴくとヒゲを揺らした。
どうやら、鬼女と一緒に消滅は免れたらしい。
茜は、ほっと胸を撫で下ろした。
「それにしても、猫でも熱射病になるのねぇ。一緒に倒れるなんて、仲の良い飼い主と飼い猫だこと」
楽しそうな麗香の笑い声が、社務所の中に響いた。