ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
悪趣味だ。
悪趣味すぎる。
外見だけ模してみたところで、それが何になるというのだろう?
そこに、心は無いのに――。
「さあ、おいで」
聞き慣れたはずの敬悟の声が、茜を呼ぶ。
ザラリ――。
毒を滴らせながら、茜の心の内側をなぞっていく。
その感覚に、茜は総毛立った。
「う……!?」
だめだ。
声すらも、出せなくなってしまった。
ふらふらと、敬悟の姿をした鬼が誘うまま、玉座から立ち上がる。
「さあ」
鬼の元へと引き寄せられる。
どうすればいいの!?
どうすれば!?
茜は、右手に持ったままでいた、ペンダントの石を力を込めて握りしめた。