ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
その頃。
何の手立てもない敬悟は、瞑想するように目を閉じて、茜の居所を必死で辿っている玄鬼を、ジリジリと胃を焼くような思いでただ見つめていた。
「かくなる上は、仕方がないか……」
ゆっくり目を開いた玄鬼が、ボソリと呟く。
敬悟を見上げる金色の瞳には、『不本意だが』というニュアンスが色濃く現れていた。
「何か、手があるのか?」
「……敬悟、おぬしの力を借りる」
「俺の……力?」
そんな力があるのなら、とっくに茜を助けに行っている。
敬悟は、玄鬼の言葉の意味が掴めずに眉を寄せた。
「ったく、赤鬼も酷な事をしやがる……」
「何を言ってる?」
独り言のような玄鬼の呟きに、敬悟はますます訳が分からなくなる。
「ちっ。この器じゃ、やりにくくて敵わん」
玄鬼はそう言うと、すうっと人間の姿に変化した。
浅黒い肌。
長めの黒髪。
少しつり加減な、大きな黒い瞳を持つ精悍な顔立ち。
いきなり目の前に現れた濃紺の作務衣姿の青年を、敬悟は驚きの眼差しで見詰めた。