ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
「お前……玄鬼なのか?」
「まあな」
鬼志茂の時に茜が言っていた『人間の玄鬼』がこれか。
尚も困惑顔の敬悟を、玄鬼が睨め付ける。
「時間がない。説明は後だ。目を瞑れ、敬悟」
玄鬼の言葉には、『否』と言わせない厳しさがあった。
それだけ状況が悪化している。
それを肌で感じた敬悟は、玄鬼の言う通り静かに目を閉じた。
玄鬼が右腕を上げて、敬悟の額に手を添え低く呪文のようなものを唱える。
その瞳がまるで埋火が炎を上げるように、黒から褐色へ、やがて金色へと変化を遂げた。
敬悟の額に触れる玄鬼の指先から、金色の光がまるで水に描かれる波紋のように広がっていく。
「無理に逆らうな。力の流れるまま、受け入れるんだ」
玄鬼の低いささやき声が、まるでエコーを掛けたように頭の中に反響する。
「うっ……」
額が焼けるように熱い。
額から入り、首、胸、鳩尾を巡り全身を駆けめぐる灼熱感。
それは、敬悟の中の眠れる『何か』を静かにだが確実に揺り起こしていく。
熱い!
「う……あっ」
敬悟は、全身を巡る灼熱感にうめき声を上げて、地面に崩れ落ちた。