ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
「な!?」
鬼が、信じられないものを見たように、声を上げた。
今まで顔に張り付いていた余裕の笑みが一瞬にして消えて、後には驚愕の表情だけが残っている。
「敬にぃ!」
鬼の呪縛が解けた茜は、寝台から跳ね降りて声の主、敬悟の元へ駆け寄った。
「まったく。その後先考えない無鉄砲な所、いい加減直せよ」
少し、あきれたような敬悟のセリフに、茜はこくこく頷いた。
「どうやって結界を破った?」
鬼が、呆然と呟く。
「茜は、返して貰う。お前には用は無い。何処へでも失せろ」
にべもない敬悟のセリフに、鬼がすうっとその変化を解いて元の少年の姿に戻る。
「どうやって、僕の結界を解いたんだ!?」
「結界? そんなものあったのか? 俺は、普通に入り口から入ってきたが?」
「なにっ!?」
すっと、敬悟が右手を挙げた。
パチン。
何かが弾けるような音が響いた瞬間、広かった鬼の空間が、狭いアパートの一室に変わった。
人の住んでいない、がらんとした八畳二間の少し埃っぽいアパートの一室には、人間の姿をした玄鬼が待ちかまえていた。
「間に合ったようだな、茜」
玄鬼が、会心の笑みを浮かべる。
「玄鬼!」
茜は、敬悟と共に、玄鬼の元へ駆け寄った。