ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】

「我ら二人を相手に戦ってみるか? 若僧」


玄鬼が、余裕の笑みを浮かべて言う。


だが、眼が笑っていない。


金色の瞳が放つ鋭い眼光が、情け容赦なく敵を射抜く。


全身から立ち上るエネルギーが、まるで金色の蜃気楼のように揺らめいている。


若僧呼ばわりされた少年の姿をした鬼は、憎々しげに白い牙をむいた。


だが、明らかにその劣勢を悟っているように、ゆっくり後ずさっていく。


そしてそのまま、空気に解けるように姿を消した。


途端に、戻ってくる日常。


行き交う車のエンジン音。


通行人の気配。


様々な生活のノイズが、日常が戻ってきた事を教えてくれた。


「まったく、ヒヤヒヤさせてくれる」


玄鬼が、呆れたように呟いた。


「あれは、茜が無鉄砲に石を使おうとしたのが原因だぞ。お陰で、俺の力も跳ね除けられてしまった」


「ごめんなさい……」


敬悟と玄鬼。


二人に同じ事でしかられた茜は、さすがに反省した。


< 167 / 349 >

この作品をシェア

pagetop