ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
「我ら二人を相手に戦ってみるか? 若僧」
玄鬼が、余裕の笑みを浮かべて言う。
だが、眼が笑っていない。
金色の瞳が放つ鋭い眼光が、情け容赦なく敵を射抜く。
全身から立ち上るエネルギーが、まるで金色の蜃気楼のように揺らめいている。
若僧呼ばわりされた少年の姿をした鬼は、憎々しげに白い牙をむいた。
だが、明らかにその劣勢を悟っているように、ゆっくり後ずさっていく。
そしてそのまま、空気に解けるように姿を消した。
途端に、戻ってくる日常。
行き交う車のエンジン音。
通行人の気配。
様々な生活のノイズが、日常が戻ってきた事を教えてくれた。
「まったく、ヒヤヒヤさせてくれる」
玄鬼が、呆れたように呟いた。
「あれは、茜が無鉄砲に石を使おうとしたのが原因だぞ。お陰で、俺の力も跳ね除けられてしまった」
「ごめんなさい……」
敬悟と玄鬼。
二人に同じ事でしかられた茜は、さすがに反省した。