ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
澄んだ空気。
豊かな自然。
素朴で温かい人たち。
こうして、こんな風にのんびりと日常の風景に身を浸していると、自分が何をしに来たのか忘れそうになる。
こんな事じゃいけない――。
そう思うのに、現実には何も出来ずに時間ばかりが過ぎていく。
鬼の文字を名前に持つこの村には、特に『鬼隠れの里』に関連する手がかりも、鬼に関する事件も無かった。
鬼にまつわる事と言えば、『鬼神さま』と呼ばれる鬼を神様として祭る風習があって、この時期お祭りがある。
それくらいだった。
完全に、空振り。
遠くまで来た分、収穫のない事実は焦りと疲労感を増幅させた。