ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
「あー! 茜ちゃん、ペンダントつけてるうっ!」
夏の暑い日。
むせ返るような湿気を含んだ空気を大きく揺らして、その声は狭いコンクリートの室内に響き渡った。
幼稚園のプールの更衣室の中、待ちに待ったイベントの到来に、水着に着替える園児たちの顔はどれも明るく、楽しげな声が方々で上がっていた。
そんな中、一際大きなその声が響いたのだ。
ビクリ!
大きな声に驚いて、神津茜(かみつ あかね)は声のした方、自分の後ろを慌てて振り返った。
栗色の、ポニーテールの髪がプルンと揺れ、白い頬をさらさらと撫でる。
他の園児たちも、一斉に声の主に視線を向けた。
賑やかだった室内が水を打ったようにシンと静まりかえり、痛いくらいの緊張が走りぬける。
皆の視線の集まる先に立っていたのは、茜とは何となくそりが合わない高田真希(たかだまき)。
耳の後ろで三つ編みされた黒髪が、意志の強そうな黒い瞳の両脇で揺れている。
茜は思わず、胸で輝く青い石のペンダントを隠すように、ぎゅっと握りしめた。