ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
「ねえ、玄鬼。鬼押神社の大鬼はあなたなの?」
「ああ」
「なぜ? なぜあんなことを? 敬にぃと橘くんはどうなったの?」
二人を傷つける必要があったのか。
それだけがどうしても分からない。
「今度石を使うときは、あの時の気持ちを思い出せ茜。そうすれば、石はコントロールできる」
石のコントロール?
まさか、それをさせるために?
「また、しわが寄っている」
玄鬼が笑いながら、茜のおでこを指先ではじく。
その指先は、茜の頬を『ぷにっ』と引っ張った後、ペンダントの石に触れる。
そのまま玄鬼は、そっと石に口づけた。
な、な、なに!?
「げ、玄鬼!?」
「お前の膝の上、結構寝心地がよかったぜ。まあ、明日香には負けるけどな」
玄鬼が、ニッと口の端を上げる。
お母さんの膝?
茜の脳裏に、明日香の膝の上で幸せそうに丸くなって眠る黒猫の姿が浮かんだ。
――行け、茜。
お前ならきっと出来る。
俺たちの叶えられなかった事が、きっと。
フワリと、温かい波動が茜の全身を包み込む。
そして、静かに消えていった。