ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
「茜、目が覚めたか」
次に目を開けたとき、茜は神社の境内で、敬悟に抱きかかえられていた。
敬悟の心配そうな瞳が、見詰めている。
私、戻ってきたんだ。
「敬にぃ……私……」
茜は、言葉が出なかった。
父と母の想い。
白鬼の想い。
そして、玄鬼の想い。
色々な想いが胸の中で渦を巻いている。
感情が溢れすぎて、言葉が続かない。
「大丈夫だ、何も心配するな」
自分を優しく包む敬悟の温もりは、なぜか茜に玄鬼を思い起こさせた。
夜明けが近いのか、辺りは白み始めている。
肌に刺さるような冷気が背筋を這い上がってきて、茜は身震いをした。
「敬にぃ……、橘君は?」
「無事だ。多少打撲はあるが、命に別状はない」
やっぱり。
そんな気はしていた。
たぶん、あれは玄鬼が見せた幻。
「玄鬼は?」
茜の問いに、敬悟は言い辛そうに一瞬顔を歪めた。
「敬にぃ?」
嫌な予感に、茜は心の奥が震える。
「……こっちだ」