ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
敬悟に支えられ立ち上がった茜は、神社のご神木の下に力無く横たわる黒い子猫を見つけた。
ゆっくりと近付くと、跪いて小さな体に触れる。
既にその体は、悲しいくらい冷たくなっていた。
「そんな……ど……して」
茜は、小さな亡骸を自分の膝の上に抱き上げると、ツヤを無くした柔らかい毛皮を震える手でそっと撫でた。
ゴロゴロと鳴らしていた喉は、もう決して反応することはない。
「こんなの……酷いよ……」
冷えた茜の頬を、熱い涙のしずくが伝い落ちていく。
それは、止めどなく後から後からあふれ出し、膝の上に力無く横たわる小さな骸に滴り落ちた。
悲しむな、茜。
俺は、もう長く生きた。
どんな強靱な生き物にも、死は平等に訪れる。
どのみち、寿命だったのさ。
風に乗って聞こえてきた声は、茜の作り出した幻聴だったのか。
それとも、玄鬼の最後のメッセージだったのか。
茜自身にも、分からなかった。