ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
背の高い雑草が両側から生い茂る、道とも言えない坂道を無言で登る。
先を行く敬悟の背中を目標に、半ば機械的に歩いていた茜は、敬悟が立ち止まったことに気が付かず、その背中に鼻から激突してしまった。
「痛った~い! どう……」
どうしたの? と聞こうとして、上げた視線が固まる。
いつの間にか、風景が変わっていた。
坂を登り切った先に突然石の台地が開けていて、そこに奇妙な物が建っていた。
「な、何これ? 石の鳥居?……」
大きな石――。
『巨石』と言って良い程の大きな石の柱が、大地から生えていた。
直径は二メートルはあるだろうか。
それは十メートルほどの間隔で垂直に建っていて、その柱と柱にはしめ縄が渡されている。
茜は、『鳥居』を連想した。
その向こうには切り立った崖が在り、洞窟がぽっかりと大きな口を開けていた。
「結界だな……」
「えっ?」
敬悟が当たり前のようにの呟いた『ケッカイ』と言う言葉に茜は眉をひそめた。
茜の目には、『結界』などと言うものは見えない。
「いや、何でもない……。恐らく、これが『鬼隠れ』の入り口だ。迎えが来ている」
「ええっ!?」