ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
茜が驚いて、もう一度『鳥居』を見直すと、その向こう側に人が立っていた。
男だ――。
遠目にもそれと分かる程白皙の、髪の長い若い男――。
茜には、敬悟とそれほど年が違わないように見えた。
敬悟が茜の手を、ぎゅっと握る。
その手が、震えているような気がした。
「敬にぃ?」
茜は、訝し気に敬悟の横顔を見上げた。
前を見たまま歩くその厳しい表情がいつになく怖かった。
「茜、一つだけ言っておく……」
「え?」
「何があっても、俺は、お前の味方だ。それを忘れるな」
敬悟の顔に浮かんだ微かな笑み。
それは、茜が今まで見たことが無いほど、哀しげに見えた。