ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
茜と敬悟は、待ち構えていた家人の女性に案内され、その広大な屋敷の一番奥の部屋に通された。
二十畳はあろうかという大きな和室だ。
上総に促され、その中央にある大きな座卓の手前側の席に、茜と敬悟が並んで座る。
「どうですか、鬼隠れの里は? 茜様」
笑いを含んだ声で上総に聞かれて、茜はとぎまぎしてしまう。
そして、ふと奇妙なことに気が付いた。
――あれ?
私まだ名乗っていないよね?
「あの……。どうして私の名前を?」
茜は気付いていないが、『茜たちを迎えに来た』と言うこと自体が異常だった。
なぜ今日、あの時間に茜達が来ることが分かっていたのか。
「存じていますよ。貴方は、私どもがご招待したからみえたのでしょう?」
ニヤリ、と上総の赤い口の端が上がる。
「え……?」