ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
時は、六世紀初頭――。
夏のある夜、瀬戸内の海に、空から大きな『光の玉』が落ちた。
それは、大地を揺るがす大音響と共に、一つの島を生み、やがてその地に一つの伝説を生み出すこととなる。
『鬼神伝説』
身の丈は並ぶ者のない程大きく、その姿は異様で皮膚は赤黒く、その双眸は赤く禍々しい光を放つ。
口は耳まで裂け、その凶暴な牙は熊さえも引き裂くと言う。
「頭に、角が生えていたぞ!」
ある者は言い。
「若い娘を、取って食らうそうだ!」
ある者は噂をした。
口伝えに聞いた民話に出てくる『鬼』を彷彿とさせるその姿に、人々は『鬼神様が現れた』と、恐怖した――。