ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
玄鬼が教えてくれた事は、正しいけれど、正確ではなかったのだ。
確かに明日香は『力を封印』した。
でもそれは、ただ単にエネルギーを保存したと言うことではなく、その『心も共に封印』したという事だったのだ。
そして。
本来、一つであるべき力を二分した明日香の身体は、急速に消耗して行った。
そしてついに肉体が滅んだとき、その守りがゆるんだ間隙を赤鬼に狙われたのだ。
茜は、何故母の死に涙が出なかったのか、やっと分かったような気がした。
『実感が湧かない』『信じたくない』と言う側面も確かにあった。
だが、母が精神体として自分を守ってくれていることを、本当の意味で死んではいないことを、何よりもその本能で、知っていたのだ。
母は、今も、このペンダントの中で生きている。
その心はいつだって、茜と共にあったのだ。